マザコン肯定論?
和田秀樹(2005) 『マザコン男は買いである』 祥伝社(祥伝社新書) 187pp.
筆者は受験勉強法でも有名な東大医学部卒の精神科医、和田秀樹氏です。
有名な方の本なら面白いだろう、と思い(安易な考え…)タイトルもユニークなこの本を選びました。
-要約-
和製英語であるマザーコンプレックスは、母親より息子が心理的に下位にある「悪いマザコン」とその逆でかつては親孝行と見なされていたような「いいマザコン」とに大別される。現代の日本では、一般に「いいマザコン」であっても否定的な見方がなされるが、母親から寵愛されて子が育つ風習を持つ国・民族は、経済成長、学力、低犯罪率などの観点で長けている傾向があり、それは個人にも当てはまる。マザコン男は結婚相手として女性に倦厭されがちだが、「いいマザコン」はむしろ肯定されるべきであり、結婚相手としてふさわしいのである。(250字)
筆者は自身の経験や社会科学的な観点から「マザコン肯定論」を展開しており、全体として納得できる部分が多かった一方、その主張を支える根拠に科学的なデータは一つもなく、精神科医としての見地を十分に活かし切れていない点が若干残念に思いました。
また、この本を読み終えて自分自身を考えてみると、私は筆者の言うところの「無条件の愛情」を受けたマザコンではなく、『条件付きの愛情』を受けた「歪な自己愛を持っている人間」(p.158)なのではないかと思いました。
理由は個人的なことなので割愛します(笑)
母親から自分がどのような愛情を受けて育ってきたのかなど、自分の育った環境について考える契機となる、ユニークで面白い本だと思います。